高血圧と生活習慣病:健康回復のために

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健康でありたいという”願望”

誰もが「健康でありたい」という思いを抱いているのはほぼ間違いないのではと思います。しかしながら、現代日本に於いては、その願望に逆行するような生活習慣となっている事例は少なくないように見受けられます。

健康を「願う」ならば、その「目標」に向うための正しい知識を「学習」し、適切かつ具体的な「計画」を立てて「実践」し、日々「反省」することが欠かせません。

当コラムでは、血圧と生活習慣病の関係、健康に向けての PDCA(Plan・Do・Check・Act)サイクルを回すためのヒントを記します。

高血圧・生活習慣病を招く要因

元来日本人に多かった生活習慣病は、脳卒中などの塩分摂取過剰に起因するものでした。これは、醤油・味噌・漬物・干物など、保存の効く食物に塩を多く用いてきた文化によります。

生活スタイルの欧米化に伴い、高血圧の傾向・生活習慣病も欧米に近いものになっています。以下に代表的要因を5つ挙げ、ポイントを記します。

  1. 塩分
  2. アルコール
  3. たばこ
  4. 体重
  5. 運動
  6. ストレス

1.  塩分

血圧の上昇は様々な生活習慣病のもととなり、また時として突然死を招く引き金にもなります。

血圧にかかわりが深いのは塩分摂取量で、1日当たり6~7グラムが目安とされています。しかしながら、ラーメン1食だけでも、それをオーバーしてしまうことがあります。

「血圧が気になるから塩分控えめで・・」というのはよく聞きますよね。では、なぜ血圧対策には減塩が効果的なのでしょうか?

体内の塩分濃度が濃くなると、血液の浸透圧調整のために、血流量を増やしてやる必要が生まれます。ホースの中を勢いよく水が流れるのと同様の状態になりますので、血圧が上がるというロジックです。

従って、血流量を穏やかにするには、体内の塩分濃度を高くし過ぎないことが肝要というわけです。

2. アルコール

結論から言うと、アルコールは体にとって毒物です。毒物であるがゆえに、速やかに分解して体外に排出する必要があります。

肝臓はさまざまな代謝を担う臓器でありますが、毒物が入ってきた場合にはその分解を最優先にして忙しく働きます。アルコールを分解している間は、食事から入ってきた脂肪の代謝等はストップして(後回しになって)しまいます。

また、多量の飲酒は血圧を上げ、血管にとって良くないことがわかっています。更には、お酒を飲むと味付けの濃い(塩分を多く含む)ものを食べたくなるという食欲増進作用もありますので、この悪循環に拍車をかけます。

つまり ・・・ アルコールが引き金となって、塩分摂取量も増えがちになり、内蔵脂肪がつきやすく、 体重増加の要因となり、挙句の果てには脂肪肝を招く ・・・

酒は百薬の長などではなく、万病の元にもなりえます。 生活習慣病の予防のためには、飲酒量をコントロールすることが極めて重要と言えます。

3. たばこ

ニコチンには血管収縮作用があり、動脈硬化作用があることがわかっています。血管の柔軟性が失われることにより、さまざまな病気を引き起こすリスクがあり、動脈破裂などの場合には死にもつながる恐れがあります。

血管へのダメージのみならず、もはや説明不要の肺がんリスクなども含め、喫煙は身体にとっては百害あって一利なしと言えます。

4. 体重

体重計のことを「ヘルスメーター」というぐらいで、体重は健康維持の重要な目安なります。

標準体重を示す指標に ”BMI” (Body Mass Index) があります。

*身長をメートルに直し、体重÷身長÷身長 で算出

BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)

例)身長160cm、体重60kgの人のBMIは
60kg ÷ 1.6m ÷ 1.6m = 23.4375 となります。

様々な統計・研究結果から、BMI=22が最も病気のリスクが少ないと言われています。

このBMIの理想値:22を用いて標準体重を計算することが出来ます。

*身長をメートルに直し、身長×身長×22 で算出

例) 170cmの人の標準体重は
1.7m × 1.7m × 22 = 63.58kg

肥満の定義は標準体重の20%以上オーバーとされており、上記 170cmの場合には 76.3kg以上だと肥満に区分されます。BMIが25以上になると生活習慣病になるリスクが倍になるといわれています。

今や日本人の3~4人に1人が高血圧といわれていますが、肥満の人では2人に1人の割合に増えます。

なお近年「隠れ肥満」が問題視されています。運動不足により筋肉が衰え、食生活が原因で内蔵脂肪がついてしまい、体重そのものは標準なのに不健康な状態にあるといったものです。

先述の通り、肥満と血圧には統計上相関関係があることがわかっていますが、そのなかでも特に内蔵脂肪型の肥満の場合には、高血圧・動脈硬化のリスクが高くなります。いわゆるメタボリックシンドロームです。

肥満や隠れ肥満で内臓脂肪がついている方については、食事の改善と、有酸素運動で脂肪を燃焼させることを強くお勧めいたします。

5. 運動

一般的に、運動する人よりしない人の方が血圧は高いです。運動を習慣づけることにより血圧を下げる効果があることは広く知られています。

歩行、ランニング、水泳などの有酸素運動が脂肪燃焼効果が高く、血圧降下・健康維持に効果的であるとされています。一度に激しい運動を行うのではなく、軽めの運動をコツコツ続けることが肝要です。

また、筋肉を適度に鍛えることは基礎代謝を上げ、内蔵脂肪をつきにくくする効果があります。

しかしながら、強すぎる負荷を伴う筋トレは、カロリー消費こそ激しいものの、急激に心拍数と血圧を上げてしまうため注意が必要です。※事故につながるリスクがあります。

筋力トレーニングを行う場合は、強度を求めるのではなく、適度な負荷で行うことを お勧めいたします。

6. ストレス

ストレスというと、仕事上のことなど、いわゆる精神的ストレスが真っ先に浮かんできますが、血圧や生活習慣病のとの関連はハッキリと証明されているわけではありません。

しかしながら、精神的ストレスは免疫力を下げたり、胃潰瘍などの一因にもなる上、動脈硬化とも関連していると言われています。日常的に過度のストレスを受ける状態にある場合には、意識的に環境の改善(や脱出)を勘考したいところです。

一方、物理的なストレス、とくに急激な温度差は血圧を上げると言われており、季節の変わり目には事故の例も多く報告されています。普段から血圧が高めの方については、特に冬場が危険と言われています。部屋とトイレや、浴室と脱衣所の寒暖差には注意が必要です。

習慣が変われば…

いくつかの要因を挙げてみましたが、こうして見てみると、正しい知識と意識をもって対応することで、高血圧と生活習慣病を予防し、事故・突然死のリスクを下げることは十分に可能であることがわかります(それゆえに ”生活習慣” 病、という名がつけられているわけですね)。

元大リーグ:松井秀喜選手の座右の銘として有名になった

心が変われば行動が変わる。
行動が変われば習慣が変わる。
習慣が変われば人格が変わる。
人格が変われば運命が変わる。

という一節がありますが(アメリカの哲学者:ウィリアム・ジェームズの言葉だそうですね)

健康を願うのであれば、心 → 行動 → 習慣 という順に変えてゆく…

高血圧や生活習慣病の予防についても、まずは心(考え方)を変えるところが第一歩です。そして行動を続けて、習慣が変われば、健康状態が改善され、運命が変わる!  と言っても、決して大げさではないと思います。

当院では、みなさまの健康を応援しています。気になることがありましたら、何なりとご相談くださいね。

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